# 15 Worldwide Slavery 世界規模の奴隷制
in Top 25 Censored Stories for Project Censored in Japanese出典:
Sojourners, 2007年3月15日
タイトル: “From Sex Workers to Restaurant Workers, the Global Slave Trade Is Growing” (売春婦からレストラン従業員まで:世界規模の奴隷貿易は成長している)
著者: David Batstone
Foreign Policy, 2008年3月/4月
タイトル: “A World Enslaved” (奴隷化された社会)
著者: E. Benjamin Skinner
調査員(学生): Brandon Leahy
評価者(教授): David McCuan, PhD
今日、世界には2700万人の奴隷・人身売買の被害者が存在し、この数は人類の歴史上、最悪の人数である。グローバリゼーション、貧困、暴力、拝金主義といった要因が、第三世界だけでなく、先進諸国の大部分においても、奴隷制の成長を促進させている。現代の世界では、大都市の裏で人々が盛んに売買されているのを見つけることができるだろう。
米国司法省(DOJ)によると、毎年80万もの人々が国境を越えて売買されており、毎年最大17,500人の新たな犠牲者が米国の国境を越えて取引されている。加えて、30,000人以上の奴隷が、米国を通過して他国へ輸送されている。DOJの弁護士達はこれまでに、米国のほぼ全州の町で奴隷貿易事件を起訴してきており、その数は91件にものぼる。
今日の人身売買は、麻薬密売や違法武器貿易と並んで地球上の犯罪活動のトップとなっている。奴隷貿易はリスト上3番目に位置しているが、上位2つとの差は縮まっている。2004年度の米国務省による人身売買に関する報告書、”Trafficking in Persons Report”によると、FBIは人身売買が毎年95億ドルもの売り上げを立てていると見積もっている。また、国際労働事務所(ILO)によって2005年に発行された「強制労働に反対するグローバルな同盟」(原題:Global Alliance Against Forced Labor)と題する報告書では、320億ドルに近い数字が人身売買による毎年の売り上げとして推定されている。
200年前にアメリカ大陸に渡ってきた奴隷達のように、今日の犠牲者達は自分達の運命を自由に追及することができない。彼らを意のままに支配している人々の個人的利益のために、仕事を強要され、もし所有者の手中から逃れようとするならば、現代の奴隷達は個人的暴力や家族への報復というリスクを負うことになる。
ますます深刻化し拡大する貧困や社会的不平等が、新たな犠牲者の予備要員の増加を確実なものとしている。窮地に陥っている両親達は、自分達の子供を売る、もしくは少なくとも奴隷商人に息子や娘の生活を支配されるような詐欺にだまされやすくなるだろう。貧困に苦しむ地域の若い女性達は、遠く離れた地の仕事を引き受けるリスクを負いやすくなる。貧しい人たちは、後に奴隷商人によって彼らの自由を奪うために利用されるような貸付金を、受け入れてしまう傾向にある。何千という人身売買業者たちは、奨学金や無料の学校教育、より良い生活といった約束をして、子供達を貧しい田舎に住む両親から誘い出す。こういった道は全て、疑うことを知らない犠牲者達を人身売買のサプライチェーンへと届けている。
現代の奴隷制は、世界市場に適合してさまざまな形態で浮かび上がってきているが、中でも債務労働は、最も一般的な形態であり続けている。典型的なシナリオでは、個人は裕福なパトロンに小額のお金を借りた後に、その支配下へと入ってしまう。パトロンは、労働者が払い戻せるとは思えないような、とんでもない額の利子や膨張した費用を元本に乗せていく。債務を負う犠牲者は、その一生を一人の支配者のために捧げ、この「拘束」は子供達にまで受け継がれることもある。奴隷的拘束は、法的権利のない中、主として詐欺行為によって確立され、暴力によって維持される。
国連は、その設立規則にていかなる形態の隷属性と闘うとしているが、現代の奴隷制への対抗に対しほとんど効力をあげていない。1817年以来、国々が多数の奴隷制廃止の国際決議に署名してきたにもかかわらず、わずかな効果しかあげられていない。
しかし、筆者のDavid BatstoneとE. Benjamin Skinnerは、世界中で活躍している民間の奴隷解放活動家たちに感銘を受け、勇気付けられてきた。彼らは奴隷解放のみならず、解放されたばかりの人たちのための暫定的学校や訓練施設を立ち上げるといった勇敢な行為に従事し、効果をあげている。
Benjamin Skinnerによる最新情報
2008年3月、米国の外交専門誌Foreign Policyは“A World Enslaved”(奴隷化された社会)を発行し、この水溜りに落とされた石は、わずかだが波紋を起こした。主流のメディアは、人類の歴史上いかなる時点よりも今日にこそ、最も多くの奴隷が存在しているという概念を、把握し報道することに困難しているようだ。合法の奴隷制はとうの昔に多くの国で葬り去られた、という理由を考えれば無理もない。肯定的な面としては、同年6月4日に発行された”Trafficking in Persons Report”で、米国務省が性的奴隷制以外の奴隷形態に対しても真剣に取り組み始めたことだ。しかし、メディアは性風俗産業以外の分野で、何百万もの人々が隷属化されていることに対し、ほとんど興味を見出していないようだ。このような限られた報道が、あらゆる形態の奴隷制に対する闘いを、隠れた、資金不足の状態にし続けている。
メディアによって見捨てられはしたものの、以前までこの問題に触れたことのなかった米国市民の一部は、Foreign Policy の記事が抜粋した本、”A Crime So Monstrous: Face-to-Face with Modern Day Slavery”(巨大犯罪:現代の奴隷制に直面して)を読んだ後、それぞれの形でこの問題に対して取り組んでいる。ミズーリ州に住む一人の形成外科医は、奴隷生活によって傷を負った生存者に無償でサービスを提供すると申し出た。ノースカロライナ州の女性は、選挙で選ばれた議員達にルーマニアでの奴隷制度を廃止するよう働きかけた。ある著名な視覚芸術家は、現代の奴隷制に関する一連の作品を手がけており、その売り上げによる収益をFree The Slaves(世界中の奴隷制に対抗するために活動している最も効果的な団体)へ寄付すると申し出ている。他にも、この本を読んだ読者達はFree The Slavesや、国内に重点を置く奴隷解放組織(ワシントンに拠点を置くPolaris Projectなど)へ寄付を行っている。こうした少数のアメリカ人達が、現代の奴隷制の形成を不利にするための貢献をしてきた。そして、奴隷や奴隷解放活動家であった私たちの祖先の闘いを継続していくのだ。